魅惑のギタリスト ~Eric Johnson編~

さて、今回はEric Johnson(エリック・ジョンソン)を紹介しましょう。

前回のJeff Beck(魅惑のギタリスト ~Jeff Beck編~)同様、僕が大好きなギタリストです。
まずは生い立ちから見ていきます。

生い立ち

1954年、アメリカはテキサス州オースティンの生まれです。
11歳のころからギターを始め、15歳のころにはバンドでデビューします。
その後、このバンドは自然消滅したようで。

1974年、20歳ごろからスタジオミュージシャンとして活動を始めます。
Electromagnetsというバンドとしても活動。このころの映像を見たことがありますが、すでにウマいし(笑)

いわゆるEric Johnsonスタイルが確立されつつありますね。

1986年、ソロアルバム「Tones」を発表。
そして1990年、2ndアルバム「Ah Via Musicom」を発表します。これですよ、これ(笑)

Ah Via Musicomアルバム

初めてこのアルバムを聞いたときは度肝を抜かれましたねー。なんて美しい音なのだろう、と。

1996年には3rdアルバム「Venus Isle」を発表。
このアルバムに収録されている「S.R.V.」は同郷出身で親交もあったギタリスト、Stevie Ray Vaughan(魅惑のギタリスト ~Stevie Ray Vaughan編~)に捧げられています。

その後、ツアーやアルバム制作と順調にキャリアを重ね、2014年までに9枚のスタジオアルバムを発表。グラミー賞にも4度輝いています。

特徴

彼の特徴はなんといってもそのサウンド!唯一無二!
一聴すればすぐに誰かわかります。

空間系のエフェクターを濃厚にかけた(しつこいという意見もある笑)クリーントーンも最高なんですがやはり、バイオリントーンとも言われる独特の“歪み”でしょう。
この音こそが彼の代名詞。
歪んでいるのに、歪んでいないような。
ギターのキンキンした成分をあまり感じない。

リアピックアップにトーンを効かせている(一般的にストラトのリアピックアップにはトーンが効いていないが、Ericは配線をイジッている)せいもあるんでしょうけど。
決してこもっているのではなく、音が埋もれない。

使用機材とかはわかっていてもね、なかなかこの音は出ないんですよ。

ちなみに主な使用機材はFender社のストラトキャスターをメインにアンプはFenderやMarshall。
そしてDamble Amp。
これは同郷のアンプ職人、ハワード・ダンブル氏が全てハンドメイドで製作しているアンプで。
当然、量産ができないうえに、ハワード氏は自分の気にいったギタリストにしか提供しないらしく(笑)一般小売はされていない、幻のアンプです。

エフェクターはVOXのワウ、JIM DUNLOPのFUZZ FACE、Ibanezのチューブスクリーマー、BOSSのDD2、ELECTRO HARMONIXのDeluxe Memory Manといったところでしょうか。他にもあるんだけど。紹介しきれません(笑)

ピックはJIM DUNLOPのJAZZⅢ・Eric johnsonモデルですね。

Eric Johnsonピック

僕も持っています。
非常に速弾きがしやすいピックです。
ただ、かなり小さめなので慣れないうちはコントロールがめちゃくちゃ難しいです。小さいし硬いしカッティングには向いていない、という人もいますがそんなことはないですよ。右手の技術を向上させましょう。硬いピックでもコントロール次第でカッティングは充分可能です。

刻印のデコボコにすぐ汚れが溜まるのだけは気にくわないです(笑)

Eric Johnsonはとにかくストイックで。とにかくマニアックで。とにかく耳がいいらしく。

●各エフェクターの配置にこだわる。(電界の影響でうんぬんかんぬん)
●使用する電池のメーカーにもこだわる。(デュラセル製じゃないとダメだとか)
●エフェクトボードの板の表裏にもこだわる。(表と裏で振動が変わるので音が変わる)
●機材の上のホコリを許さない。(ホコリがあると音が変わる)
●誰かがあるフレーズを弾いたときに、手元を見なくてもどういう運指で弾いたかがわかる。(ホントかよ)

というかんじで、どこまでが本当でどこからが都市伝説なのかわかりませんが(笑)
実力もこだわりも超一級品です。

フレーズはペンタトニックスケールを多用しているんですが、なんつーかペンタトニックスケールにきこえないというか・・・そこ思いつくかね?(笑)っていうフレーズ展開だったりします。
すごく大きなくくりではブルース系のギタリストなのかもしれませんが。
ディミニッシュ系のスケールとかも頻発するんでジャズやクラシカルな要素も感じさせますね。

コードヴォイシングも独特で。
サウンドの綺麗さとも相まって、何度も言うように唯一無二のスタイルを確立しています。
速弾きも素晴らしいです。ピッキングコントロールがすごい。正確無比な演奏です。
テンポは・・・アレだけど(笑)

一つの疑問

速弾きをする上で重要なことが脱力です。
右手も左手も脱力していないとスピードが出せません。鉄則なんですよ、これは。

ただ、一つ疑問があって。
僕の見る限りでは、この人、左手がかなり力んでいるように思えるんですね・・。
痩せてて指が筋張っているからかもしれないけど。けっこう力強く押さえているように見えるんですよ。バタバタするし。そこがなんとも不思議で。

右手もね、けっこう荒くというか動きも大きいでしょ。弦に対するピックの深さは浅いんですよ、間違いなく。でもあんなに大振り?してよく浅く入れられるなーって。まぁ、速いからいいんだけどさ(笑)

まとめ

ギターがうまい。歌もうまい。そしてイケメン。
今はもうおじいちゃん?のような年齢ですが、若いときは王子様のような雰囲気でした。

先にも述べたように、ペンタトニックスケールを中心にフレーズが展開されるのでシンプルというか、非常に聞きやすいです。が、実はかなり難易度の高いことをやっているので、コピーするのは至難の業です。余程の自信がないかぎり、挑戦するのはやめましょう(笑)

「Cliffs of Dover」(Ah Via Musicom収録)は必聴です★