魅惑のドラマー 〜Jojo Mayer編〜

The Machine ———

僕なら、敬意をこめてそう呼びたいドラマー。

「人力ドラムンベース」「変態ドラマー」などの異名をとる
Jojo Mayer(ジョジョ・メイヤー)氏の紹介です。

魅惑のドラマー二人目にして、もうこの人かよって
ツッコミが聞こえてきそうですが(笑)

なにしろ凄いドラマーなんでね。
早めに紹介したかったんですよ。
では見ていきましょう!

Jojo Mayer

Jojo Mayerとは

1963年 スイスはチューリッヒ生まれのドラマーです。
ジャズミュージシャンの父のもと、2歳でドラムを始め、早くも18歳からプロとしてのキャリアをスタートさせています。
この間、ドラムは独学で腕を磨いたそうで。
と言ってもミュージシャンの父親からなんやかんやとアドバイスはあったんでしょうけど(笑)

父親の影響でジャズ一辺倒というわけでもなく
The BeatlesLed ZeppelinRay Charlesなど、本人曰く「とにかくなんでも聞いた」とか。
やはり色々なジャンルのものを吸収することで、その後の自由な発想とスタイルの確立に繋がっているんでしょう。
僕はメタルバンドをやる気はありませんが、マイケルロメオとかけっこう好きです(笑)

活動開始後10年ほど経ってから、1991年に活動の拠点をニューヨークに移しています。
この頃からドラムンベース、ブレイクビーツなどのいわゆるエレクトロニカ(電子音楽)に傾倒し、
コンピューターでしかできないことを人間が完璧に再現できないか」という野心が芽生え
自身のスタイルを磨き上げていきます。

1997年、NERVEというバンドを結成。
ドラム、ベース、キーボードという編成で“人力エレクトロニカ”という
独自の世界観を生み出しています。
初期メンバーはキーボードが中村卓也さんという日本人の方で、現在はメンバーチェンジされてはいますが、精力的に活動中です。

スティック、シンバル、ペダルなどもシグネイチャーモデルが発売されており、
世界的にも非常に評価の高いドラマーですね。

Jojo Mayerのスタイル・魅力

Jojo Mayerの魅力いえば、なんと言ってもその正確無比な演奏。
そして手数の多さとスピード。

>「コンピューターでしかできないことを〜

もう、この発想が凡人とは違うしね(笑)

そもそもドラムンベースってテンポが速く、リズムも構成も複雑で
「人間にはできないけどコンピューターならこんな面白い音楽も作れるぜ」
っていうところから始まっているわけですよ。
それを更に人間業に戻すっていうね。意味不明です。

人間よりも速く走れる乗り物作ろうぜ、って車を作ったけど
車と同じくらい速く走れるようになった、みたいな人です(笑)
まさに変態ドラマー。

なぜ、そんなことが可能になったのか。

徹底した研究と効率化。
まぁ、なんつーかドラムがとにかく好き(膨大な練習量)なんでしょうけど。

いわゆるモーラー奏法だったりグラッドストーンだったり。
足にしてもスライドだったりヒール&トゥだったり。

簡単に言うと
モーラー奏法ってのは
身体の構造的な観点で効率よく叩く奏法です。負担が少ない。
グラッドストーン奏法は
物理的な(スティックの軌道)観点で効率よく叩く奏法。

スライド奏法は
ペダルに足を乗せるときに「手前を踏んで→奥を踏む」
つまり「つま先→かかと」とスライドさせて連打を打つ奏法。
ヒール&トゥは
先にかかとを乗せて、すぐにつま先を落として連打する奏法。

色々な「奏法」やテクニックを駆使したドラミングです。
手動ディレイ(残響音の表現)やピッチベンド(叩いたあと打面を指で押してピッチを変える)などもこの人の代名詞と言ってもいいですね。

映像をよく見るとわかりますが、指先を使ってかなり細かくスティックをコントロールしているし
手首や腕の角度を変えて、打点を変えることによって音色をコントロールしています。
相当なこだわりがある人なんでしょう。

この細かい部分へのこだわりが、“人間味”を醸し出しています。
機械のように叩けるが、“機械的”ではないんです。

彼のドラムのフレーズをそのまま叩ける人はいるだろうけど
機械的にならずにうまく叩ける人がどれほどいるだろうか。

むちゃくちゃ凄いことをやってのけるのに、無味乾燥な演奏にならない
これこそがJojo Mayerのドラミングの魅力です。

最後に

◯◯奏法、△△奏法、□□ピッキング、みたいなのがありますけど、
うまい人たちは、一つの奏法やフォームだけでプレイしているわけではないんです。
これは◯◯、ここからは△△、みたいに明確な線引きがあるわけでもないしね。

当然、Jojo Mayerも色々なテクニックを駆使しています。しかし
「ここはこのテクニックを使おう」「ここからはこの奏法にしよう」
なんていちいち考えてはいないはずです。
様々なテクニック・奏法がうまく混ざり合って、超絶プレイを生み出しているわけです。

こういった奏法やフォームなどはあくまで考え方の一つ選択肢の一つ
メリットばかりではなく、デメリットも必ずあります。

メリット・デメリットを理解したうえで、色々な奏法・フォームを取り入れ
いいとこ取りで自分なりの演奏スタイルを構築していくことが理想でしょう。

まぁ簡単じゃないんだな、これが(笑)

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