ライブでのギター持ち替えの必要性

音楽では、その人の性格が如実に出るなーと日頃から思っています。
レッスンでも、練習でも、ライブでも。

リズムが前のめりに弾く人、後ろにモタる人。
コツコツ真面目に練習する人、あんまり練習しない人。
そして、ライブでギターを持ち替える人、持ち替えない人。

僕は“持ち替えない派”です。
個人的には、ギターを持ち替えるメリットをあまり感じません

エレキとアコギの持ち替えはありますよ、さすがに(笑)

いわゆる“1ステージ、1ギター”ってやつです。

狭く、深く。
できるだけある一つのギターの可能性を掘り下げていきたいと考えています。

ある程度、収穫があれば横に広げていく感じです。
人間関係にしても同様に狭く深くです(笑)

ライブ経験のない方や、持ち替えを考えたこともなかった方もいると思うので、
持ち替えるとどうなるのか?なぜ持ち替える人がいるのか?

持ち替える方法、もあわせて解説します。

持ち替えるとどうなるのか

ギターを持ち替えることで起こる変化を見てみましょう。

  • が変わる
  • 気分が変わる
  • 見た目が変わる

といったところでしょうか。
メリットだらけのように思えますね。

ところが、これを持ち替えない派の目線で言いかえると

  • 音が変わる(けど、ほとんどのお客さんはわかっていないので自己満足)
  • 気分が変わる(けど、お客さんからしたら知ったこっちゃないので自己満足)
  • 見た目が変わる(けど、音楽的なところで何の意味もないので自己満足)

となるわけですね(笑)

これにプラスして
持ち替える手間とライブ会場にギターを複数台持ち込む手間とがかさみます。

なぜ持ち替えるのか

持ち替える一番の理由としては“音が変わる”ことでしょう。

確かに変わるんですよ。
長年やっている人間にはわかります。

でも先に書いたように、お客さんが感じとれるほどの変化なのか?という疑念がわきます。

例えば、FenderのストラトGibsonのレスポールを手元に用意していたとします。

ストラトはストラトらしい音がするし、レスポールはレスポールらしい音がするとします。

ストラトをメインで使って、ある曲だけレスポールに替えるとして。

お客さんが
「あー、たしかにこの曲ならさっきのストラトよりレスポールだよねー」
って思いますか?

思わんでしょ(笑)

多分ほとんどの人が
「なんで持ち替えるんだろう?」とか
「なんかギターの人が持ち替えているなー」くらいにしか思わないはずです。

持ち替える方法

持ち替えるには、いくつかの用途や構造のパターンが考えられます。

それぞれ見てみましょう。

エレキとアコギのパターン

エレキアコギを使いわけたい場面がありますね。

エレキとアコギだと根本的に繋ぎ方が違います。

エレキはアンプに。アコギはDIに繋ぐことが多いです。
まぁ、エレキでDI使うこともあるけど。

DIとはDirect Injection Boxの略です。「DI」または「ダイレクトボックス」と呼ばれます。
楽器の音をミキサーに直接入力したいときに使う機械です。

なぜこれが必要かと言うと、インピーダンスといって楽器の内部抵抗というものの関係なんですが、
ちょっと話がそれるのでこれについてはまた別の機会に。

アンプ複数台のパターン

ギターを複数台もちこんで、ギターの台数分だけアンプも用意して繋ぐという場面。

ギターが2台ならアンプも2台、ギターが3台ならアンプも3台と。
これはわかりやすい方法ですが、単純にスペースの問題が生じます。

ライブハウスのステージって意外と狭いんですよ。

5人組バンドだったりするとただでさえ狭いのに、アンプを2台も3台も用意すると他のメンバーからクレームがきます。

狭いステージでの演奏はそれだけで集中力がそがれます。
動きづらいし、余計なトラブルも起きちゃうし。

昔、ライブで僕のギターソロの直前にボーカルが僕の足元の機材をあやまって踏んで、
シールドがすっぽ抜け、
音が出なくなるというトラブルにまきこまれました。

最大の見せ場が台無しでした(笑)

ステージはある程度広いほうが良いです、絶対に。

そして会場のアンプを使うならまだしも、自分でアンプを複数台持ち込むとなると
搬入作業も準備も大変です。

ラインセレクターで切り替えるパターン

ラインセレクターとは、中に複数の回路がありスイッチ一つで信号を切り替えられる機械です。

例えばギター2台をラインセレクターに繋いで
出力先は1つ、つまりアンプは1台。ということも可能です。

これだとギターだけ複数台持ち込めばいいので、アンプ複数台よりはかなり楽ですね。
しかしこれにはこれで落とし穴があって。

ギターのサウンドは“アンプ7割と言われています。

ギターを変えたりエフェクターの設定を変えたりでもちろん音は変わりますが、出音はアンプの元々のキャラクターと設定にかなり持っていかれます。

それにプラスして、ギターは個体ごとに出力が違ったりします。
つまり音量が違います。

Aのギターではちょうど良かったけどBのギターに切り替えたら音量がいまいち、というようなことが起こりかねません。(外音はエンジニアが調整してくれるとしても)

アンプのキャラクターに持っていかれすぎないように、それぞれのギターの特色が出るくらいに音色を作りこみ、更にそれぞれの音量バランスも考える必要が出てきます。

まとめ

細かく見ていくとかなり面倒だな、と思えてきますね(笑)

この面倒さを越えるほどのメリットがあるのか
と言われると、「う~ん」となってしまいます。

音が変わって、自分の気分が上がって、ライブのパフォーマンス自体が良くなるとしたら
それは良いことでしょう。

ギターを持ち替えて正解です。

でも、そこまでの効果がないのなら。
お客さんにより良いものを届けられないのなら。

持ち替える意味はあまりないのかなー、と。
いわゆるコスパが悪すぎます。

デカい会場でやれるようなプロミュージシャンはいいんですよ。

スタッフもたくさんいるし、全部スタッフがやってくれるし。
自分のパフォーマンスに集中できるから。

アマチュアでスタッフも抱えていなくて、そんでもって自分でアンプやギターを複数台持ち込んで、音作りも細かく気にしながら・・・ってやるくらいなら
潔く腕を磨くほうがいいと思います。

ストラトっぽい音が欲しい時にストラトを使って。
レスポールっぽい音が欲しいときにレスポールを使う。

これが悪いとは言わないけど、これだと技術の向上が見込めないでしょう。

「ストラトだけどレスポールみたいな音が出せないか?」とか
「ピックアップがハムバッカーだけどシングルコイルのような音に近づけるためにはどうしたらいいのか?」とか。

そんなことを考えながら日々、あれやこれやと思考錯誤していくと、思わぬ発見があったりするものです。

そこに個性が生まれるし、それに伴って技術も向上すると思うんですよ。
じゃないとAdrian Belew(エイドリアン・ブリュー)みたいに象の鳴き声とか出せないわけです(笑)

あれやこれやと試行錯誤してみて、それでもやっぱりどうにもならなかったらそのときは持ち替えてもいいでしょう。

持ち替えること自体が悪いのではなく、“色々試した上での持ち替えなのか?”ということです。
たいした変化も出せないのに頻繁に持ち替えるのは、ただの自己満足または現実逃避です。

と、さんざん持ち替えることを自己満足と言いましたが
持ち替えないというのもやっぱり自己満足なんだな(笑)

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