世の中が騒がしくなってきていますねぇ。
後ろ向きな話題が多くなりがちですが・・・できれば気分は傾けず、ピックを傾けていきましょう!
というわけで今回はピックスランティングについてです。
ピックスランティングとは
ピックスランティング(pick slanting)
slant=傾斜、です。ピックを傾けるということですね。
画像のようなピックのアングル(弦の並びに平行な軸、に対する角度)とは別物なので混同しないように。
これについてはまた別の機会に解説します。
ピックスランティングは「ボディに垂直な軸、に対する角度」の調整です。
ギターのボディと自分のお腹を突き刺すような軸です。ネックや弦の断面をイメージするとわかりやすいでしょう。
ダウン方向に手首を傾ける(ピックの先端が自分の顔方向を向く)ことを
ダウンワードピックスランティング。
アップ方向に手首を傾ける(ピックの先端が足方向を向く)ことを
アップワードピックスランティングといいます。
用語は必ずしも覚える必要は無いですが、使い分けは覚えておきたいところです。
例えばコードストロークの場合、ダウン方向にしかストロークしないのであればダウンワードピックスランティングのみが楽です。ピックがスムーズに進みます。
逆にアップ方向にしかストロークしないのであれば(そんな人はいないと思うけど)アップワードピックスランティングでOKです。
しかし一方向だけにしか弾かないというのは現実的ではありません。そこでピックスランティングの使い分けが重要になってきます。
どう使い分けるのか
ピックスランティングは1本弦で弾く際には使用しません。
してもいいけど意味はありません(笑)
複数弦にわたって弾くとき、つまり弦移動の際に効力を発揮します。
どの場面でどっちのピックスランティングを使うかは、弦移動の状態を見極める必要があります。
今弾いた弦をどういう状態で弾き終わり、次の弦をどう弾きたいのか、です。
アップで弾き終わり、下の弦をダウンで弾く
例えば5弦をアップで弾き終わり、次に4弦をダウンで弾きたいとき。
5弦をアップで弾いたままの状態で何も考えずに4弦を弾こうとすると、ピックが再度5弦に当たってしまいますよね?
5弦に当てずに4弦を弾くためには、ピックの先端が5弦を越えないといけません。
このときにダウンワードピックスランティングを行います。
5弦をアップで弾き終わった時点で手首をダウン方向に傾けます。こうすることでピックの先端が5弦を越える状態にできるので、そのまま一気に4弦を狙えます。
アップで弾き終わり、上の弦をダウンで弾く
5弦をアップで弾き終わり、次に6弦をダウンで弾きたいとき。
最初の例と違い、5弦に2回当たることは無いですが、今度は6弦を1回越える必要があります。
このときもダウンワードピックスランティングで6弦を1回越えてからダウンで弾きます。
ダウンで弾き終わり、次の弦をアップで弾く
ではダウンで弾き終わったときはどうなのか。考え方はもうおわかりでしょう。
5弦をダウンで弾き終わり、次に6弦をアップで弾きたいとき。
5弦を2回弾いてしまわないようにアップワードピックスランティングで6弦を狙います。
5弦をダウンで弾き終わり、次に4弦をアップで弾きたいとき。4弦を越える必要があるので、こちらもアップワードピックスランティングです。
エコノミーピッキングではどうなるか
弦移動の際に「ダウン・ダウン」や「アップ・アップ」など、同一方向にピックを進めることをエコノミーピッキングといいます。
この場合のピックスランティングはどうなるか。
特に考えなくてもいいんじゃないの? と思ったそこのあなた。
ゲンコツです(笑)
ギターは全ての弦が同じ高さ(弦高)ではありません。調整と、ネック指板面のR(横から見たらカーブしてる)の度合いや各弦の太さにもよりますが。
ピックがボディと完全に平行な軌道を描くとして、6弦をダウンで弾いたままの状態で5弦ダウンへと進むと、一般的なギターでは5弦のほうがピックが深く入ってしまいます。なぜなら5弦の弦高がやや高くなっているからです。
2弦を、ピックがギリギリ当たるような深さでダウンで弾き、そのまま1弦へ進むと空振りします。
1弦の弦高がやや低くなっているからです。
オルタネイトピッキングの場合はダウン・アップのどちらで終わり次をどちらで始めるか、を考える必要がありました。
エコノミーピッキングの場合は移動先の弦が今弾いた弦より高いか低いか、を考える必要があります。
まとめ
オルタネイトピッキングの場合
アップで終わり、次がダウン:ダウンワードピックスランティング
ダウンで終わり、次がアップ:アップワードピックスランティング
エコノミーピッキングの場合
弦高が低い弦に向かってダウン&弦高が高い弦に向かってアップ:ダウンワードピックスランティング
弦高が高い弦に向かってダウン&弦高が低い弦に向かってアップ:アップワードピックスランティング
となります。
これにプラスしてアングルやインサイドピッキング・アウトサイドピッキングなども考えていくとピッキング技術が飛躍的に向上します。
平面ではなく、常に三次元で考えていくことが重要です。
どれくらい傾けるか、は個人差がありますが理想としては“ほんの僅か”です。それで充分です。
うまい人の映像を見てもそれほどわからないと思います。
映像では傾けているようにはなかなか見えないんですね。
見えないところでいろんなテクニックを駆使しています(笑)
ギタリストによってはダウンワード・アップワードどちらも使い分けるタイプの人と、どちらか一方にかたよってハンマリングやプリングでうまく処理するタイプの人といます。そのへんは好みです。
僕の個人的な感覚としては、ダウンワードピックスランティングのときはほんの少し小指を手の平の中にしまいこむイメージで。
アップワードピックスランティングはほんの少し親指を押し込むイメージでやるとうまくいきます。
どちらにしてもごく僅かの傾きです。
慣れないうちは大げさに角度をつけてもOKなので、ピックの向かう方向や弦高などを考慮してピックを傾けるという意識をしてみましょう。驚くほどピッキングがスムーズになるはずです。
完全にモノにするには、すげー時間がかかるけどね(笑)