ギターのコード弾きの本質 ~点ではなく面である~

楽器には固有の弾き方・特徴があります。

ギターはなんといってもコード弾きでしょう。
もちろん他にもギターならではの奏法はあるけどね。

ピアノなどの鍵盤楽器でもコード弾きはできますが
ギターのコード弾きとは根本的に違います。

ギターのコード弾きは点ではなく面だからです。

どういうこと?
詳しく見ていきます。

ギターのコードの鳴らし方

まずコードを
ギターではどう鳴らすか
ピアノではどう鳴らすか。

これを考えましょう。

ギターはピックで弾くとします。
例えばオープンコードのCなら、こう

オープンコードのC

です。

このとき1回しか鳴らさないなら
通常はダウンピッキングで1回鳴らします。

ピアノは両手で
ギターと同じヴォイシング(音の並び順)で鳴らすとします。

ピアノのC

つまりどちらもルートから
C・E・G・C・Eというヴォイシングです。(ギターは1オクターブ下)

んで、これをジャンと1回鳴らしたときに
どう聞こえるか?

CEGCEの音が同時に聞こえるはずです。
ピアノならね。

え?
ギターもでしょ?

と思ったそこのアナタ
ゲンコツです(笑)

ギターのコードは同時ではありません。

同時に聞こえるけど
僅かに、でも確実にタイムラグがあります

そう、ピックで5弦から順番に弾くからです。

ピアノは同時。
理論上はタイムラグ(指の動きの僅かなズレ)の可能性はあるんだけど
同時に聞こえるし、同時として扱う。

例えるなら
Dioの「ザ・ワールド」に結界を切断されたのを花京院が同時に感じた、ってのと同じです。

引き合いの漫画、Dioと花京院
ジョジョの奇妙な冒険 / 荒木飛呂彦

ギターは「同時に聞こえる」ようで、実際には100%タイムラグがあるので
決して完璧な同時ではないんです。

例えるなら
九つの斬撃を超スピードで繰り出す飛天御剣流・九頭龍閃みたいなもんです。

引き合いの漫画、九頭龍閃
るろうに剣心 / 和月伸宏

引き合いに出した漫画が古いな・・・

調べもせず、この2つの例えで納得できた人は
僕と同世代でしょう(笑)

極端な言い方をすると
ギターのコード弾きというのは「アルペジオ」と同じなんですよ。

時間を局所的に拡大すると
音が順番に鳴っていますよね。

ギターのコードにおける時間の流れ

ゆっくり弾けば、普通のアルペジオ。

でもコード弾きも
時間を拡大すれば結局アルペジオってこと。

ダウンアップで考えると

では、一発鳴らすのではなく
通常のストロークで考えるとどうなるか。

こういうリズムがあるとします。

ギターのリズム例

ギターならダウンだけじゃカバーできないので
アップピッキングも入ってきます。

ピアノで弾くなら、こうです。

ピアノのリズム例

あんまりこういう伴奏はやらないけど。
やるとすれば、やはり点の連続になる。

ギターの場合の時間を拡大すると・・・
上昇アルペジオと下降アルペジオの連続だということがわかります。

ギターの時間を拡大した図

ピアノでは「タンタターンタタタ」
でもギターだと「ダララララダララダラララダララダラララ・・」
と、もはや口では言えないリズムになってしまいますね(笑)

ギターでのコードストロークは
とてつもなく速いアルペジオを弾いていることになります。

面として考えると

ピアノのコードは点
ギターのコードは面。

ピアノは点、ギターは面の図解

もちろんピアノでも面のような弾き方はできますよ。

あくまで通常の弾き方をした場合
楽器の構造・特性上そうなるよって話。

これを踏まえてギターのコード弾きをするときは
面とイメージしながら弾くようにします。

すると一つ一つの音に集中できるし
捉え方というか見え方が違ってきます。

どう違うかと言われても、感覚的なところなので説明が難しいんですが。

一発で全ての音を鳴らしているのではない、って考えただけで
表現の幅が広がります。

ピッキングスピードのコントロールによって
「わずかに速い」「わずかに遅い」というニュアンスの差を出せるようになるんですね。

この音の幅の表現が広がると
バンド全体のグルーヴとかにも関わってきます。

日本人は点で弾く人が多いし、点を目指そうとする傾向にあるけど
海外の人は点で弾かないし、点を目指そうとしていないように感じます。

多分、国民性というか
文化的な背景もあるんでしょう。

楽器演奏に関して言えば、

日本人は几帳面さがデメリットだし
海外の人はラフさがメリットなんですよ。

電車のダイヤの正確性とかは素晴らしいけど。

点としてきっちり一発と考えず
面で捉えて少しラフに、自由にコントロールする。

これができれば表現の幅がかなり広がります。

まぁピッキングの技術があればの話なんだけどね(笑)

最後に

ギターでのコード弾きは
決して“点”だと思わないでください。

“面”だと思うことで自由度というか
深みが増します。

ピアノに深みがないって意味ではないよ。

ギターという楽器の特性を
最大限に活かすということです。

コード弾き全般に共通することなので
アコギのストロークはもちろん、パワーコードカッティングなども全てそうです。

特にカッティングは、点で弾くと味気ないものになります。

面を意識して演奏を向上させましょう。

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