ギターの奏法:パワーコード 〜意味・押さえ方・コツ〜

アコギではあまり馴染みがないですが
エレキでは使うことの多いパワーコードについて解説します。

通常のコードに比べると押さえる弦が少ないので
比較的、簡単だとか弾きやすいだとか思われがちですが

けっこう弾けていない人は多いですよ(笑)

パワーコードとは

まずコードとは何か。

コードとは高さの違う音を2つ以上同時に鳴らしたもの
という定義ですが

コードには「明るい」「暗い」「安定」「不安定」などの性質や特徴があり
それらを決定づけるのには最低でも3音は必要です。

ではパワーコードとは何かというと、先に述べたコードの性質・特徴をあえて廃し
パワー感と、濁りのないストレートさを全面に出したものです。

ここでいう“濁り”というのは“汚い”とかって意味ではなくて
コードの持つ独特の響きが、ロックなどでは邪魔になることがあるという意味です。

2音、または3音を鳴らします。

そしてここが一番重要なんですが
鳴らす2音は5度のインターバルということです。

5度とは度数のことです。(度数について

ルートと5度は最低でも鳴らす。

じゃ3音の場合は?

ルートのオクターブ上を重ねます。
度数でいうと1・5・8度ということですね。

ちなみにパワーコードは
Link Wray(リンク・レイ)氏が開発したと言われています。

パワーコードの押さえ方

ではパワーコードはどう押さえるのか。

一般的なのはルートを人差し指、5度の音(2F隣、1本下の弦)を薬指
で押さえる方法です。

パワーコード2本指

3音の場合はオクターブ上(5度の音からさらに1本下の弦)を小指で押さえます。

パワーコード3本指

2音で薬指がキツい場合には小指でもOKです。
当然これだと3音は出せません(笑)

パワーコード2本指、小指

このときに大事なことは手のバランスを考えることです。

人差し指側に寄りすぎすと、薬指が極端にキツくなります。

パワーコード、人差し指側に寄せる

だからといって薬指が届かないのを嫌って手首をヒネって
薬指側に寄りすぎると人差し指がキツくなります。

パワーコード、薬指側に寄せる

というか、これだとそもそも手首がキツい状態です。

うまく押さえるためには、指をうまく開くこと。
あまり開かないという人は、開き方に問題があります。

あることを意識すれば、すぐに開くようになんですが
これは企業秘密(笑)

レッスンではお伝えしています。

パワーコードで綺麗に弾くコツ

パワーコードで綺麗に弾くコツを、左右別で見てみましょう。

ちゃんと押さえられていることが前提です。

左手のコツ

左手のコツは2つ。

まずは、ルートを明確に意識して押さえること。

よくあるのが、6弦ルートと5弦ルートとの移動の際に
うやむやになってしまうパターンです。

わかりますかね?

前半2回は、人差し指がほぼ動いていません。
こうなると5弦ルートを弾いたときに6弦の音が残ってしまいます。

後半2回のように、しっかり6弦→5弦と人差し指を押さえなおしましょう。

6弦の音をミュートするために、軽く触れるのはOKです。

次に横移動のスピードを意識することです。

移動が遅いと間延びしてしまい、キレが悪くなります。
リズムも安定しません。

後半2回のように素早く移動させ、“移動中の音”がダラッと出てしまわないようにします。

何を弾くにもそうですが
左手が右手のピッキングのタイミングに間に合わないのはNGです。

右手のコツ

右手のコツは、ピッキングの振り幅です。

左手と同様に、まずルートを意識しましょう。

どこから鳴らすのか?
を明確にしないと全体的に不明瞭になり、雑音になります。

6・5弦の2本パワーコードを鳴らす場合と
5・4・3弦の3本パワーコードを鳴らす場合とでは

ピッキングの位置振り幅が違うわけです。

なんでもかんでも同じような右手の動きで弾いてしまうと綺麗になりません。
鳴らす必要のない音まで出るからです。

ロックバンドの映像などで
右手を勢いよく大振りしているような演奏をしていますが

あれはパフォーマンスです(笑)

実際にはコンパクトに振ったほうが演奏の精度は上がります

余弦(鳴らさない弦)のミュートをすれば大振りも可能ですが
どうしても「チャッ」「ギャッ」「キュッ」のような
余弦のミュート音(ブラッシング音)が乗ってしまいます。

もちろん表現としてそれらの音を乗せるのはアリです。

パワーコードの応用

ここまでは、ルートを人差し指で押さえているオーソドックスなパワーコード
を例にとり解説してきました。

バンドの編成やアレンジにもよりますが、ベースがいればルートを弾かなくても成立するので
思い切って省略するのもアリです。

省略することでルートありのときよりも速いフレーズを弾くことが可能になります。

こんなかんじ

これがルートありだとこうなります。
ポジション移動の距離が出るため、どうしても音が途切れがちになります。

ダブルストップという解釈もできますが
元をたどればパワーコードなんですよね。

話の趣旨がかわるのであまり深入りしませんが
エレキギターにおいてルートというのは、あまり重要ではありません。

常に「ルートを省略する選択肢」を持っておいたほうが良いです。

最後に

いくつかコツを紹介しましたが、これ以外にも沢山あります。

ルートの意識や移動スピードなど言いましたが、

表現の一つとして
あえてルーズに弾く・ラフに弾くというのはOKです。

ただし
ラフにも弾ける、というのと
ラフにしか弾けない、というのは
まるで意味が違います。

丁寧とラフの弾き分けかたは
ジャンルや曲調、アレンジにもよるので一概に「こう」とは言いにくいですが

方法はちゃんとあるので、レッスンではお伝えしています。

パワーコードさえ弾ければ乗りきれるような曲も沢山あることだし(笑)
しっかり弾けるようになりましょう。

さらに詳しく知りたい方は、お問い合わせください★

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