レコーディングの話

先日、久しぶりにレコーディングをしました。
知人のエンジニアから急に依頼がきて、急ぎで弾いてくれ、って(笑)

クライアントは、とある界隈ではけっこう有名な歌い手の方らしいんですが。

僕はその方を知らないし、直接打ち合わせできたわけでもなく。
ろくに準備もできないまま臨むことになったんですよ。

コロナの影響もあり、実に数年ぶりのレコーディングでしたねー。

しばらくブランクがあったことで気がついたことや、自分の中での変化がありました。

世の中レコーディングをしたことない人の方が多いだろうから、なんのこっちゃわからんかもしらんけど(笑)
紹介したいと思います。

リラックス

まず自分で驚いたのが、かなりリラックスできていたということ。
レコーディングってやっぱり「本番」なのでそれなりに気合いが入るし、知らず知らずのうちに力みも発生するんですけどね。

急な依頼で準備不足だったから、というわけではありませんよ。

僕はレコーディングが一番好きなので、気合いも入ってテンションも上がってたんです。

でも、なぜかリラックス状態。
俯瞰の意識というか、弾いている自分とそれを客観視している自分。

弾きながらリアルタイムで自分を客観視するのって難しいんですけど。その日の調子もあるんかな?

日頃からある程度できてはいるんですが、かつてないほど客観視できたし冷静でした。
でもプレイ自体が冷めているわけではなくてね。

反応速度の鈍化

曲を聞いたり、クライアントのイメージを聞いて、どれだけ早くフレーズが出てくるか、どれだけ早く具現化できるか、が大事なんですが。

さすがにこれは鈍ってた(笑)
プロのアスリートが数年試合をしなかったら・・・当然「試合勘」は鈍るでしょう。
まさにそんな感じだと思います。

勘が戻る頃には、はい時間切れーというわけで。いいものは録れましたが、自分的にはもっと早く対応できたのになぁという感覚です。

まぁ、このへんは徐々にレコーディングをこなすうちに戻っていくでしょう。

制限による集中

レコーディングと言っても、いろんな案件があります。

自身のバンド、それも自分がリーダーで主導権を完全に握れる状態。
自身のバンドだけどそこまで主導権は無い状態。

依頼されたもので自分の得意なジャンル、不得意なジャンル。
曲の方向性やイメージなどをしっかり打ち合わせできるもの、できないもの。

ウワモノ(ギターや鍵盤などの、ドラムとベース以外の音)が何も入ってなくて割と自由に弾けるもの。ウワモノがガチガチに入っていて身動きとれないもの。

今回は、打ち合わせなし&ウワモノがガチガチというギタリスト泣かせの案件でした。

ところが、そのせいなのか逆に集中できたんですよ。

ギター弾きや鍵盤弾きというのは、基本的に「スキマ産業」です。
このへんは音楽的な話になるので、一般の人にはなかなかわからないところかもしれません。

音域、動き、などを考慮しながらスキマをぬうようにフレーズを入れていきます。

例えばピアノが低い音程を出しているところは、ギターが高い音程を出す。

ピアノが細かく動くフレーズを弾いているなら、ギターは白玉(2分音符など割と伸ばす音)で攻める、など。

基本的にはウワモノは似たようなことをしないほうが、お互いの音が目立ってお互いの良さを引き出せます。ツインギターのバンドで二人ともパワーコード弾いていたりすると・・・かなり痛いです(笑)

まぁ、えて同じようなことをしてフレーズを目立たせるというテクニックもありますが、曲にもよるしセンスが必要です。

今回の曲はウワモノがかなり盛りこまれていて、なおかつイメージを極力変えたくないからそのままでってことだったので。

ギターを入れるスキマあんまり無いじゃんっていう(笑)
そういう制限がキツイ中での作業でした。

もともとスキマを見つけるのは昔から得意で。
手前味噌ですが、このへんはいろんなエンジニアの方からお褒めに預かります。

別に自分のセンスがいいとか言うつもりはありません。
多分ね、性格の問題です。

ステージ上で「俺のギターソロを聞いてくれー!オリャー!」みたいなタイプのギタリストは
おそらくスキマを見つけるのは下手でしょう。

僕はどちらかというと、目立っても目立たなくても自分の仕事がしっかりできればいいやという考え方なので。大して意識しなくても自然とスキマ、スキマって方向にいく傾向にあります。

今回はかなりスキマが狭かったですが、うまいことハマりました。

クライアントありき

当たり前ですが、クライアントがいる以上、クライアントのイメージが大切になってきます。
クライアントがボツと言えばボツです。

今回は打ち合わせなしのぶっつけ本番だったので、ちらほらボツをくらいました(笑)

プレイヤーとしては、クライアントを満足させつつ自分の個性を出すことが理想です。
そのためには録ったフレーズに説得力が必要なんだよね。

クライアントの最初の意図とは違うけど、結果的に満足してくれた

これが最高の状態でしょう。といっても限度があるけど。

自分を出しすぎず、抑えすぎず。
クライアントのイメージどおりかつ、できればいい意味で予想を裏切って満足させる。
こういうプレイヤーを目指したいものです。

改めて、縛りのキツイ状態でのレコーディングは大変だと思いました。
今回は特別です。

打ち合わせは大事だよ、マジで(笑)

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