「あの人はリズム感がいい」
「自分はリズム感に自信がなくて・・・」
なんて言いますよね。
じゃリズム感って何でしょう?
ずばり、リズム感の正体は予測能力です。
まぁ厳密に言うとそれだけではないんですが、
とりあえず
予測能力が一番大事な要素です。
どういうこと?
詳しく見ていきましょう。

リズム感とは
歌うにしても楽器を演奏するにしても
音楽をやる上で避けて通れないのがリズム感です。
ダンスにも関係していますね。
「音を出す」「動く」などの作業を
一定の間隔・一定の周期で繰り返します。
この一定の間隔・一定の周期というのは
時間の流れであり、“感覚”です。
ある地点からある地点までの時間の経過の“予測”。
リズム感が良い・悪いというのは
時間の経過が安定的に予測できるか・できないか、という違いです。
これはねー、ある程度環境というかスタート時の条件に左右されるんですよ。
「クリティカルエイジ」といって
ある能力を獲得するために適した年齢、つまり身体のある器官がもっとも発達する時期がある
と言われています。
その年齢をすぎると能力を獲得するのに苦労する、ということになります。
ボーダーラインみたいなもん。
語学だと8歳くらいらしいです。
これくらいまでに他言語に触れる機会が少なければいわゆるリスニングなどが弱くなりますね。
最近では小学生から授業で英語を取り入れるようになったようですが
今までは長いこと中学生になってからでした。
これだと完全に遅い。
先生の言っていることがチンプンカンプンだったり
リンゴ=appleを「ェアポゥ」ではなく「アップル」と
頑なに発音しているようなヤツがクラスにいましたよね。
あの状態です(笑)
んで、音楽のクリティカルエイジはだいたい5歳くらいと言われています。
音感とかリズム感の良さは
5歳くらいまでに音楽を始めているかどうかで決まると言ってもよいでしょう。
大人になってから鍛えるのは
かなりの労力が必要になってきます。
どう予測するのか
リズム感の良い人は、なにをどう予測しているのか?
リズム感の良さを判定するのによく使われるのはクリック(メトロノーム)です。
そして曲を聴きながらであればドラムの音でしょう。
一定周期で音を刻んでいるからです。
この一定周期で刻んでいる何かしらの音を
頭の中でサンプルとして抽出します。
ライブなんかでドラマーがスティックを叩きながら
「ワン、トゥ、スリー、フォー」と4カウントを出しますよね?
あれば演奏者全員に「このテンポだよー」っていうサンプルを提供しているわけです。
ドラマーが一切カウントを出さずにいきなり叩き始めたとしたら演奏は合いません。
怒られます(笑)
まぁ、上級者の集まりなら即座に反応して合わせることは可能ですが
それでもド頭からドンピシャで合うってことは物理的に不可能です。
だからテンポのサンプルが必要で、そのサンプルの周期・間隔を覚えて演奏するわけです。
間隔とはもちろん
一つ一つのクリック音の間隔。
1つめの音から2つめの音、2つめの音から3つめの音
この間隔(時間的な距離感)を頭の中にインプットします。

1つめの音だけを聞いてテンポを判断することはできません。
どんな天才ミュージシャンでも無理です。
1つだと間隔が存在しないからです。
2つめの音を聞いてはじめて間隔が生まれ、テンポを予測することが可能になります。
「1、2、3、4、ときたから次の1はこのへんだろう」
と予測して音を出すわけです。
そして1発だけ当ててもしょーもないので
その予測を継続していきます。

つまりリズム感の良い人というのは
間隔の読みが正確、かつ安定的に継続できる人ということになります。
間隔さえ存在すればいいので
「1、2、3、4」と4カウントでなくとも、実は2カウントだけで合わせることが可能です。
リズム感の調べ方
間隔の読みと安定的な継続、ってことがわかったところで
自分がリズム感を持っているかどうか判定できない人もいるでしょう。
簡単な判別方法があります。
「1、2、3、4」を聞いて“次の1”のタイミングで
楽器の音を出してみましょう。
別に楽器じゃなくても手拍子でも指パッチンでもOKです。
次の1のタイミングでピシャっと合わせることができたかどうか
でリズム感の有無を判定できます。
1発でも合わせることができたならあなたはリズム感があります。
音楽的な意味で。
1発でも合わせられるなら
あとはそれを継続すればいいだけの話です。
このときに大事なことはクリックを聞きすぎない
つまり、“聞いてから合わせにいこうとしない”こと。
聞いてから合わせにいくと当然合いません。
出遅れている状態です。
リズム感とは予測能力なので
ここらへんにくるだろう、という予測を継続して、
継続した結果、全てがクリックとピッタリ合う
というのが理想です。
あなたも持っている
1発でも合わせられたら音楽的な意味でリズム感がある
と述べました。
そう。
音楽的な意味で、です。
リズム感には
「音楽的なリズム感」と「身体的なリズム感」とがあります。
個人的には
身体的なリズム感がゼロという人はいないと思っています。
なぜなら歩けるからです。
呼吸をするからです。
歩くということは腕や足、細かく言うと腰や背中などを一定のリズムで動かさないといけません。
運動神経とかもあまり関係ないと思われます。
呼吸も
急に走る、とか動作を変えない限り一定です。
しかも無意識でしょ?
そして何より
人間の身体には、生きている限り一定のリズムを刻んでいる
究極のリズムマシーン器官があります。
そう、心臓です。
これこそまさにリズムですね。
不整脈とかじゃない限り規則正しく刻んでいるでしょう。
心臓は体内時計にも関わっているといいます。

人類最古の音楽は三拍子だと言われます。
三拍子わかりますか?
ズンチャッチャーとかウンタンタンみたいなやつですよ。
もちろんその頃はギターとか存在しないので、打楽器のみのシンプルな音楽だったんですが。
これは僕の推測ですが
三拍子が始まりだったというのは心臓の鼓動からきているのではないかと。
鼓動って
ドッ・クン・(ウン)・(ウン)・ドッ・クン・(ウン)・(ウン)の四拍子ではないですよね。
ドッ・クン・(ウン)・ドッ・クン・(ウン)と三拍子です。
人間は生まれながらにして一定のリズム(三拍子)を刻んでいるんです。
最後に
リズム感がないと思う人は
まず自分の身体的なリズム感に意識を向けてください。
必ずヒントがあるはずです。
音楽的なリズム感がない人というのは
「自信」と「経験」が無いだけです。
身体的なリズム感は誰しも持っているのだから
それを音楽方向に活かすという経験が無いだけ。
経験がないから自信が持てないだけ。
「自分はリズム感がない」という思いこみは捨てましょう。
具体的なリズム感向上のトレーニング法はまた別の回に。
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