楽器演奏の時間のズレ

楽器演奏の苦手な人は、プロの演奏を見て

「なんであんなに正確な演奏ができるんだろう」
「少しもズレがなくてすごいなー」

などと思うでしょう。

ところがどっこい
演奏というのはズレの産物なんです。
楽器演奏には時間のズレがあり、時間のズレを把握していないと
いい演奏はできません。

うまい人はこのズレをしっかり把握しています。
下手な人はズレを把握できていません。

どういうことか?
気になりますね(笑)

細かく見ていきましょう。

どこがズレているのか

まずどこがズレているのかを意識しましょう。
楽器演奏のズレとは “自分が音を出したいタイミングと発音のズレ”です。

自分が「ココだ!」と思ったタイミングで、その楽器の音が出ていますか?
ということです。

楽器別に解説します。

鍵盤楽器のズレ

皆さん、ピアノなどの鍵盤楽器を弾くときにどうやって弾きますか?

歯で?(ジミ・ヘンドリックス)
足で?(リトル・リチャード)

ほとんどの人が素直に手で弾くでしょう(笑)

では手で弾くとして。
ピアノの音が“発音される”のはどのタイミングでしょうか?

椅子に座ったとき?
フタを開けたとき?
鍵盤に触れたとき?

もちろん鍵盤に触れるだけでは発音されません。
ピアノの発音は鍵盤に触れて“下まで押し込んだとき”です。

厳密に言うと、鍵盤を押し込んで裏のハンマーが弦を叩いたときです。
(ピアノは弦楽器でもある。「楽器の難易度」の記事も参考に)

わかりますか?

なんとなくで弾いていると、手が触れた瞬間に音が鳴るような気がしていますが
僅かにタイムラグが生じます。

ピアノなどの場合、ココだ!と思ったタイミングが
手を触れて鍵盤を押し込んだタイミングと一致しなければなりません。
手を触れたときに音が発音するような感覚でいるとズレてしまいます。

ギターのズレ

次にギターの場合を考えましょう。

皆さん、ギターをどうやって弾きますか?

歯で?(ジミ・ヘンドリックス)
ドリルで?(ポール・ギルバート)

ギターも手を使いますね(笑)
そして、この左右の手にズレがあります。

ギターは左手でフレットを押さえて音を出します。(開放弦は除く)
つまり左手の押さえが“完了してから”右手でピッキングしないと綺麗な音は出ません。

映像などで見ると同時に動いているように見えますが、
わずかに左手が先行です。

いや、感覚としては左右同時なんですよ。
でもほんの僅かに左手先行の意識がないと、いい演奏にはなりません。

そして、左右のズレだけでなく右手だけのズレも重要です。

ギターは弦を振動させることで音を出しますね。
では、弦から発音されるタイミングはいつでしょう?

指で弾くにしても、ピックで弾くにしても。
弦に触れた瞬間ではありません。
弦に触れ、“振り抜いた瞬間”です。

つまり指やピックが、弦から離れないと音は出ないわけです。

打楽器のズレ

コンガなどの直接手で叩くものを除いて
スティックなどで打つ打楽器もやはりズレが生じます。

スティックやバチを持っているということは
手から先端までの距離がありますよね?

そして打つときに手首を完全に固定して
スティックの先端と腕が完全に平行のまま打面を狙うことはないでしょう。

手首が可動するので腕全体がしなるような形になります。
これによって振り下ろしたときの打面までの距離にズレが生じます。

普段、手で叩く打楽器とスティックなどを使う打楽器を使いわけている人は
このへんの感覚を修正する必要があります。

ズレをどう修正するか

まず、自分が出したいタイミングと実際の楽器の発音にはズレがあるということを意識しましょう。

そして自分が演奏する楽器のメカニズムをしっかり把握します。
どういう仕組み・プロセスで音が出ているのか、をです。

発音のプロセスがわかれば、どこでズレが生じるかがわかってきます。

ここまでは誰にでもできると思います。
さて、ここからどうするか。

ひたすら聞くしかないんだよね(笑)

速いテンポはダメです。ゆーっくりのテンポで。
自分の手の動きと発音のタイミングをじっくり観察して下さい。
そして、何度も反復することで感覚のズレが修正されていきます。

自分が出したいタイミングと発音のタイミングが一致すると
より演奏の精度が上がっていきます。
もちろん最低限の演奏技術は必要です。

最後に

ここまでの内容は、あくまでも楽器の発音に対する話です。
厳密に言うとズレているのはこれだけではありません。

楽器で発音し、その音が自分の耳に届くまでの僅かなズレがあります。
音が伝わる速さ、つまり音速はおおむね秒速340mです。(気温によって変化します)
つまり340m以上先に楽器を置いて遠隔操作で演奏できたとしたら、音が1秒はズレて聞こえますよね。
誰もそんなことしないだろうけど(笑)

エレキギターやエレキベースなど、電気使って音を出すものは
電気的なロスがあるのでこれもまた僅かにズレが生じています。

まぁ、このへんまで考え始めると夜も眠れないので
あまり深入りしないようにしましょう(笑)