みなさん、一生懸命コードを覚えていますか?
ダイアグラムを見てポジションを覚えて、または音名とコードの成り立ちを覚えて。
なるほど、コードってそういうことだったのかー、と。
そういうルールなのかー、と。
思っているかもしれません。
確かに、ルールは存在しますが
絶対にこれ、という正解はありません。
曲のコードを拾うとしても、コード自体の押さえかたや構成音(響き)だとしても。
なぜなら、コードは解釈だからです。
どういうことか?
見ていきましょう。
コードとは
そもそもコードとは何か。日本語では「和音」といいますが。
コードとは、少なくとも3つの異なる音(音名)を重ねたものです。
なぜ3つなのかというと、コードには機能・役割があり
その機能・役割を決定づけるのに3つは必要だからです。
基本的な音の重ね方を知りたい人はこちらを参考に。
「コードの成り立ち ~意味から考える~」
「コードの成り立ち その2」
「コードの成り立ち その3」
「コードの成り立ち その4」
「コードの成り立ち その5」
なぜ解釈か
厄介なことに、コードは展開形やオンコード、テンション、オミット(省略)など
元のコードの形どおりには弾かないことが多々あります。
展開形はコードネーム自体は変わりませんが。
さらに代理コードや裏コードなど、あるコードの変わりに使えるというコードもあります。
そして、コードは元々は主旋律(歌や、楽器の主なメロディ)に対するハーモニーとして拡大されたものなので「主旋律ありきで考える」とするならば
メロディが動く度にコードネームがめまぐるしく変わる、ということになります。
まぁ、それは現実的ではないよね(笑)
でも、主旋律がコードトーン以外の音でロングトーン(長く伸ばす)を出しているとしたら
それはもはやコードの一部としても良いのでは? ともなります。
後述しますが、オミットしていると考えるなら
どこをどう切り取った(オミットした)か、でいくらでもパターンが思いつきます。
また、ピアノ曲とかなら割とシンプルにコードは拾うことができます。
必ずと言っていいほど左手でコードのルート(コードの基盤となる一番低い音)を出しているので。
バンドものになると、
ベースを聞いて、ギターを聞いて、鍵盤はこんな感じだしー、という具合に
様々な楽器の音を拾う必要があります。
全ての楽器が同じ音を出してくれているわけではないので、
頭の中でそれぞれの音を足しあわせてコードを構築するんです。
こういった点から、コードは解釈と言えます。
コードの定義が変わるという意味ではなく、
どのコードネームをつけるのかは音を拾う人による、という意味です。

具体例
具体例を見ていきましょう。
「ドミソ」という音の並びがあるとします。
これは一般的にはCコードと解釈する人が多いでしょう。
ところがAm7(ラドミソ)のルートのオミット(省略)とも考えられるわけです。
さらには、Dm7(9,13) (レファラドミソ)の1・3・5度オミットともとれます。
さらにひねくれた解釈をすると、C△7(ドミソシ)の7度オミットとも言えます。
さすがに、ここまで考える人はいないか(笑)
また、オンコードだと
Bm7(シレファラ)なのか、D/B(シレファラ)なのか。
どちらも同じ音名で構成されていますよね。
ギターは出せる音が最大で6個なのと、基本的には左手でしか押さえないため
どこかしらの音を最初からオミットしていることが多いんですが。
オミットしているかも、と想像を膨らますだけでパターンが無限に広がります。
問題点
コードは解釈、ということになると
ある問題が出てきます。
それは
本やサイトによって、書いてあるコードが違う
ということです。
お気に入りの本やサイトなど、一つの情報源にとらわれすぎると
コードの知識や幅が広がりません。
まぁ、あまり理解していないうちは混乱するだけなので、一つに絞ったほうが良いですが。
たまに「さすがにそのコードじゃないやろ」ってコードが書いてあるものもあります。
このへんは大人の事情というか(笑)
結局、本やサイトを作っている企業があるわけで。その企業も誰かに報酬を支払ってコードを拾ってもらっているわけで。
一人の人にコードを拾ってもらうのと、
複数人にコードを拾ってもらって解釈のズレがないか確認するのとでは、
支払う報酬が変わってきますよね。
そういうことです(笑)
バンドスコアなども同じです。
複数の楽器のことを高いレベルで理解している人に依頼するのと
ドラマーだけどギターのことも少しわかります、って人に依頼するのと
どちらの方がスコアとしての完成度が高いですか?
どちらの方が報酬が安くて済みますか?
ってこと。
解決法
コードは解釈。
本やサイトもあてにならない。
では、どうするの?
自分で覚えましょう。
コードの仕組み・成り立ちをです。
そして耳コピも必要になります。
耳コピが苦手な人は「耳コピ・音感・落とし穴」の記事を参考に。
どうしても他の情報に頼りたいというなら
複数の情報を確認しましょう。
複数の本、複数のサイト。そして、比較します。
一方にDと書いてあり、もう一方にD7と書いてあるなら
なんとなく「D系」のコードなんだろうな〜と。
もう一方にD系でない全く違うコードが書いてあるなら
そのときは勉強のチャンスです。
なぜこの解釈なんだろう、と。
ただ単に間違って書いてあるだけかもしれませんが。
なぜ間違ったのだろう、と考えるのも勉強です。
色々知識がついてくると、間違った理由も見えてくるようになります。
あてにならない情報を元に、違っているかもしれないコードで弾いた気になるか
自分の知識と耳で確かめて、納得したうえでしっかり弾くか
どちらを選ぶかはあなた次第です★